緊急避妊説明動画
緊急避妊とは何ですか?
緊急避妊とは、あなたが避妊をしないでセックスしてしまったとか、コンドームが破けるなど、避妊の失敗が起こったなどの場合に、妊娠を防止する方法です。その最も一般的な方法が、緊急避妊ピルと呼ばれるものです。セックスの後に内服されるピルとしてアフターピル(モーニングアフターピル)とも言われています。時には、子宮内避妊具も使用されることがあります。避妊効果は子宮内避妊具>緊急避妊ピルとなります。すべての緊急避妊法は、避妊が出来ていないセックスが行われた後、数日以内に行われなければなりません具体的には、緊急避妊ピル内服は72時間以内、子宮内避妊具挿入は120時間以内に行われなければ効果があまり期待できなくなります。あなたにとって最も適当と考えられる方法についてご相談できます。
緊急避妊の方法
1レボノルゲストレル内服
世界的に広く使用されている緊急避妊ピルです。レボノルゲストレル錠は、厚生労働省より認可された緊急避妊剤です。妊娠阻止率は、レボノルゲストレル85%と言われています。以前はヤッペ法が使用されていましたが、レボノルゲストレルが発売されてからは、ヤッペ法に比べ、嘔吐の副作用が著しく低く、妊娠阻止率も高いので、ヤッペ法は使用されなくなりました。2019年に後発薬が発売され、緊急避妊の薬代が少し安くなりましたが、継続して内服する経口避妊薬ピルの避妊効果とは比べものにならないほど避妊効果は低く、値段も高いので、緊急避妊を繰り返すのではなく、避妊が必要な方は継続した避妊を行うことをお勧めします。
2子宮内避妊具挿入(IUS)
ホルモン剤が添加された子宮内避妊具を挿入する方法があります。ピル内服よりも避妊効果が高いため、今後継続して避妊が必要な方には、こちらがもっともお勧めです。ただし、子宮内避妊具挿入によって、性感染症に罹患していた場合には骨盤内炎症性疾患にかかる可能性があるため、性感染症検査をお勧めします。
緊急避妊ピルについて
緊急避妊ピルの成分は何?
緊急避妊ピルとは、避妊目的で使用する「経口避妊薬」と同様なホルモン剤です。もちろん、同じ使い方ではなく、緊急避妊ピルとしての独特な使われ方をします。
どうして、緊急避妊ができるのですか?
あなたの月経周期のどの時期に、緊急避妊ピルが服用されたかによって作用の仕方が異なりますが、例えば「排卵を抑える」「受精を邪魔する」「子宮への受精卵の着床を阻止する」などが考えられます。妊娠の成立とは、受精卵が子宮内膜に着床することを言うので、いったん着床してしまったら、すなわち妊娠が成立した場合には、緊急避妊ピルの効果は得られないことになります。
いつまでに緊急避妊をおこなうのですか?
緊急避妊ピルは、無防備なセックスが行われた72時間以内(3日以内)に服用しなければなりません。緊急避妊の効果は、避妊の失敗から早ければ早いほど効果的と言われています。72時間を過ぎても全く効果がなくなるわけではありませんが、72時間以内のできるだけ早い時期に内服するように勧められています。また、子宮内避妊具挿入は120時間以内(5日以内)に行わなければなりません。(排卵時期が推定され、排卵後5日以内の場合には挿入可能な場合もあります。)
緊急避妊ピルを服用することで、どの程度の効果があるのですか?
緊急避妊ピルは妊娠を防止しますが、100%というわけではなく、数%に妊娠が起こることもあります。仮に、緊急避妊ピルが頻繁に使用されたとしても、経口避妊薬を避妊目的で継続的に使用している女性に比べて妊娠率はかなり高くなります。
レボノルゲストレル錠による妊娠阻止率のめやす
24時間(95%)、48時間(85%)、72時間(58%)
緊急避妊ピルは安全ですか?
世界では、1970年代の半ば頃より、緊急避妊ピルを使用されてきました。少ないとはいえ、出血、頭痛、悪心、下腹部痛、月経が遅れる、乳房が張る、不正出血などの副作用が現れることがあります。最も多い副作用は気持ちが悪くなることで、時に吐いたりする場合があります。ただし、これらの副作用は24時間以上継続することはありません。頻度は低いですが(6%程度)、薬を内服してすぐに(2時間以内)嘔吐した場合には、再度薬を内服しないといけない場合があります。吐き気がある場合には吐き気止めを内服することは可能です。希望があれば、緊急避妊ピルと一緒に処方可能です。
緊急避妊ピルは今回だけの避妊のためのくすりです!
緊急避妊ピルを服用した後、再度きちんとした避妊が行われないセックスが行われた場合、ピル内服では、その後のセックスによる妊娠を防止することはできません。
緊急避妊ピルの効果は今回一回のみです。今後も継続して避妊が必要であれば、継続避妊が可能な低用量ピルの継続内服か、子宮内避妊具の使用などを検討してください。
緊急避妊ピルが本当に効いたかどうかは、服用後すぐにわかるわけではありません。次回の月経がきて初めて妊娠を避けられたことが分かります。次回月経まで性交を待てない場合には、低用量ピルを内服開始することをお勧めします。本日緊急避妊ピルを内服し、翌日から低用量ピルの内服を開始し、7日後から避妊効果が得られます。また、12日間低用量ピルを内服し、内服終了後1週間以内に月経がきます。「不正性器出血」や「妊娠初期の出血」と「月経」とを区別できない場合もありますので、次回月経が通常と明らかに異なる場合には、妊娠の可能性が否定できないので、妊娠検査薬でのチェックをして下さい。また、受診の際に指定された日までに月経が来ない場合には、妊娠検査をしてください。その際に妊娠反応陰性であれば、今回の避妊の失敗での妊娠は無かったという事になります。ただし、緊急避妊ピル内服後に次の月経までにセックスがあった場合には、その後のセックスでの妊娠の可能性も考えないといけません。
緊急避妊ピルを服用したにもかかわらず妊娠してしまった場合に赤ちゃんに影響がありますか?
今まで知られている限りでは、ピルの影響で、生まれた赤ちゃんに異常があったということはありません。
どのように緊急避妊ピルを服用するのですか?
きちんとした避妊が行われないセックスの後、72時間以内にできるだけ速やかに1錠のピルを服用して下さい。72時間(3日)が既に経過していた場合、緊急避妊ピルの服用は十分な効果を期待できませんが120時間(5日間)までは効果が期待できると言われています。また、時間が経過している場合には、他の方法(例えば、5日以内であれば子宮内避妊具を挿入する)について、相談して下さい。
≪参考≫72時間の目安・・・土曜日の夜中1時の避妊の失敗の場合、火曜日の午前1時がタイムリミットになります。遅くとも月曜日には病院受診して緊急避妊を行うようにしてください。
緊急避妊ピル服用後2時間以内に吐いてしまった場合、医師に相談して下さい。
場合によっては追加して服用する必要性や、子宮内避妊具の使用を検討する必要があります。ピル服用後2時間以上を経過しての嘔吐であればピルの効果について心配はいりません。吐き気がある場合には、吐き気止めを内服して構いません。
子宮内避妊具(IUD)による緊急避妊
子宮内避妊具による緊急避妊: (子宮内避妊システムIUS)
避妊失敗の5日目(120時間以内)までにホルモン剤添加されたIUS、または、銅が添加された 銅付加IUDを子宮内に挿入する方法です。(当院使用IUS:ミレーナ、IUD:ノバT今後国内処方できなくなります。)
緊急避妊で72時間以上越えた場合でも避妊のために挿入する事で着床を防ぎ、避妊効果が高くなります。緊急避妊ピルによる避妊の効果が期待できる72時間以内に内服が間に合わなかった場合にもとても効果的です。また、1度の挿入で、今後5年間の継続避妊も可能です。
どうやってミレーナ(黄体ホルモン付加子宮内システム)で避妊できるの?
ミレーナは、黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内システム(IUS: Intrauterine System)です。黄体ホルモンが子宮内膜に作用して内膜がうすくなり、受精卵の着床(妊娠成立)を妨げる効果があります。また、子宮の入り口の粘液を変化させて精子を膣の中から子宮内へ侵入するのを妨ぎます。低用量経口避妊薬(OC)の高い避妊効果と、子宮内避妊用具(IUD)の長期(5年)の避妊が可能であるという特徴を合わせ持っています。また、月経困難症、過多月経の治療薬として保険適応のある方の場合には、健康保険診療で挿入できます。
ミレーナについての詳細は、バイエル薬品のサイトをミレーナとはご参照ください。こちらのサイトでは、動画での詳しい説明もみることが出来ます。
緊急避妊の費用:2024年1月現在
レボノルゲストレル錠 : 10500円 ※今後継続的に避妊が必要な方には・・・レボノルゲストレル錠+低用量ピル1シートセット:12,650円(税込)(緊急避妊ピル処方当日に、継続避妊のための低用量ピルを同時に処方する場合にはピル相談料2900円が後日あらためてかからないのでお得です。)
低用量ピル(月経困難症治療として保険診療で処方時の自己負担額):約1000円~3000円/月)、避妊のための自費のピル:約2200円から2600円(処方料を含む)
ミレーナ(黄体ホルモン付加子宮内システム)(月経困難症があり、保険診療時の自己負担):約10000円、(避妊のため自費):約56000円
※今後変更される場合があります。料金表をご参照下さい。
緊急避妊と性感染症の関係について教えて下さい。
緊急避妊ピルと子宮内避妊具は、どちらもエイズを始めとした性感染症(例えば梅毒、淋病、クラミジア、ヘルペス)を予防することはできません。
今までこのような検査を受けたことがなければ、この機会に性感染症検査を受けることをお勧めします。今回初めての感染機会の場合には2,3ヶ月後に検査を受けてください。すぐには検査できません。緊急避妊で性感染症検査を行った場合には、数ヶ月後に再度検査した方が良い場合があります。
コンドームだけの避妊はお勧めしません。
コンドームだけの避妊は最大失敗率15%、きちんと使っても2~3%の避妊失敗率があります。ピルや子宮内避妊具での避妊効果は99%あります。ただ、ピルや子宮内避妊具でも100%の避妊効果は得られません。コンドームとピルや子宮内避妊具を併用することで、避妊効果はさらに高まります。ピルとコンドームを併用した場合には妊娠率は1/5万まで減少します。緊急避妊が必要で、今後も継続避妊が必要であれば、コンドームと併せて他の避妊方法も使用しましょう。
コンドームの正しい使い方について学びましょう。
ピルや子宮内避妊器具を使用しても、性感染症予防にコンドーム使用は大切です。ピルや子宮内避妊具でも100%の避妊効果は得られません。コンドームを併用することで、避妊効果をより高く得られます。
コンドームの達人こと、医師・岩室紳也によるコンドームの正しい着け方。
岩室先生のHP:http://iwamuro.jp/
助産師が作ったコンドームについての動画:リズミック コンドーム
避妊について関連コラム
ピルによる避妊
https://www.yuiclinic.com/shinryo/page-275/page-289/