硬膜外無痛分娩をもっと取り入れて欲しいです! ~看護学生質問より

以前のブログ院長日記に掲載した記事を紹介します。(2018年12月掲載)

2020.9録画、YouTubeでみるかたはこちらをチェックしてくださいね。https://youtu.be/gB0GQnu04Y8

看護学生から以下の質問?感想?をもらいました。

日本でもエピドールでの無痛分娩を取り入れるべきだと思います。(注:エピドールは硬膜外麻酔のことだと思われます。)妊娠していた時に最初に通っていた病院の院長いわく、痛みを感じることで子どもへの愛情が高まりそれがリンクすると言われたのですが、私自身まったく理解できなかったしエピドールをやることで長いお産に望むことができた(体力面などで)ので、エピドールでのお産がノーマルになったらいいなと思いました。

  • コメント:この方は硬膜外無痛分娩で良いお産ができたと感じられて、硬膜外無痛分娩がもっと日本でも一般的に広まると良いなと思っていらっしゃるというご感想を私の講義をうけていただきました。私の意見は、やはり自然がよいと思っているところです。ゆいクリニックでは、とても長引くお産の時には痛み止めのお薬を使うこともあります。でも、基本的にはなるべく薬や医療介入を行わずに自然にお産ができるように助産師さんの丁寧なケアで心をくだいてお産をサポートしています。
    私もこの方が通っていた病院の院長先生の意見「お産の痛みが子どもへの愛情を高める」
    に賛成します。もうすこし科学的にいうと、お産の時に大量のオキシトシンホルモンが分泌されます。オキシトシンホルモンは、子宮収縮を起こし、お産をすすめるホルモンであると共に、以下のような効果があります。
  • リラックス
  • 鎮痛効果
  • 愛着形成促進
  • 人を信頼する力をたすける

その他多くの効果が研究されています。

硬膜外無痛分娩は自然な陣痛が起こってから硬膜外麻酔を行う場合もありますが、多くが計画分娩です。
陣痛は自然なホルモンではなく、お薬をつかって起こします。
陣痛をつけるお薬には、オキシトシンホルモンのお薬もあります。
ですが、お薬で陣痛を起こすと子宮収縮のみで、精神作用は見られないと言われています。

もちろん、お産後の早期接触や母乳育児でオキシトシンホルモンが分泌されて子どもへの愛情は進みますが、お産の時に自分中心の女性脳から、子ども中心への母性脳に変わっていくことで、本能で育児ができると思います。
理性だけで育児をしていくのは、人間も動物なので、とてもたいへんで、育児はものすごい重労働ですが、お産も含めてどんどんラクで便利がよいというように変わっていってしまうのは、人間として動物としてとても危ないことだと思います。

母乳育児もそうですが、人工乳が開発されても、人間の浅はかな科学の知識では自然の力は超えられないと思います。
ですから、科学の力を過信せずに、自然をできるだけ大切にしていくことが、人が人として健康に生きる道だと思います。

白川先生の本では、子供の心を育てるということでとても分かりやすく紹介しています。

人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる: 人生でいちばん大切な3歳までの育て方

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。