答え:赤ちゃんが母乳を飲んでいるから貧血になるわけではありません。お母さんが鉄不足だとしても、乳汁からの鉄移行の問題は特にありません。ただ、母親が鉄欠乏性貧血、鉄欠乏の状態だと、赤ちゃんは生まれた後に鉄不足になる可能性が高くなります。
胎児は妊娠10ヶ月36週頃から母体から鉄を受け取って体内に蓄えるので、母親が妊娠中に鉄欠乏だと産まれる前に十分に鉄分をもらえずに乳児期早期に貯蔵鉄を使い果たして貧血になる可能性があります。お母さんには、妊娠中から授乳期にかけて鉄分をとって胎児に鉄をしっかりと蓄えてもらうことは大切です。乳児は出生時約3kgから1年で3倍の9kgまで成長します。たくさんの栄養が必要です。授乳期に母親が鉄をとっても母乳の鉄は増えないというデータがありますが、授乳期の鉄欠乏亜鉛欠乏は産後うつのリスクが上がるという報告もあり、お母さん自身の健康のためにも授乳期にもしっかりと栄養をとる必要があります。母乳には人工乳に比べると鉄含有量は少ないですが、とても吸収が良いです。人工乳で育てられる赤ちゃんは鉄欠乏性貧血は少ないですが、たくさんの鉄で体内に活性酸素がたくさん発生する可能性が、母乳で育てられている赤ちゃんより高くなります。
乳児の鉄欠乏性貧血にはインクレミンシロップという薬が処方されるのが一般的ですが、これはとても添加物が多いので出来るだけ赤ちゃんにあげるのを避けたいです。フローラディクスはハチミツが含まれているので一歳未満の子どもには使えません。ヘム鉄のカプセルをあけて、その粉を食べ物に混ぜて赤ちゃんにあげるということも可能です。でも赤ちゃんに薬やサプリメントをあげるのはとても大変だし、鉄不足は赤ちゃんの発育や発達にとても悪影響があります。出来るだけ乳児期の貧血を避けるために、妊娠中にお母さんの鉄欠乏を治して、赤ちゃんに胎内で鉄をしっかりとあげるようにしましょう。