授乳時の不快症状(D-MER)について

質問:私は上の子3人とも完母だが、授乳中の不快症状があり、(おそらくD-MER)なにか対策があれば教えてほしい。

答え:今まで3人のお子様を母乳育児でお育てになっていた時に、授乳時に不快な症状があって、また今度出産後の授乳で、授乳時に不快な症状がおこらないか心配していらっしゃるのですね。授乳中に不快な症状が起こるのはもしかしたら、何か、問題があるのではないかと不安なお気持ちかと思います。

授乳中に起こる不快な症状の事をD-MER;Dysphoric milk ejection reflex(不快性射乳反射)と言います。

原因は☆ホルモンによる反射的なものと考えられています。

母乳分泌にはいくつかのホルモンが関係しています、
赤ちゃんがおっぱいを吸うとその刺激によって母乳を作るホルモンであるプロラクチンの血中濃度が上昇します。
その際一時的に脳内のドーパミン濃度が下がり、その後安定します。

ドーパミンはポジティブな気分に関係していて、一時的な低下によって不快な気分になったりすると言われています。
自分の意志と関係なくその症状があらわれます。
授乳時に不快な気分が怒るのは、母親に向いていないから、ネガティブな性格だから、などとは全く関係ありません。また、お母さん自身に、過去に授乳に関連して心理的なトラウマになるような経験があったかどうかとも関係ないと言われています。

また、射乳反射の際のかわった反応とも考えられています。射乳反射の際にはオキシトシンと言うホルモンが脳から出ます。オキシトシンは愛のホルモンともいわれ、幸せに感じたり、赤ちゃんをかわいいと感じるホルモンですが,この時ごく少数ですが逆に不快感を感じる人がいるのです。これは反応なので産後うつでもありません。安心してください。

対処法としては

*軽症の場合

気持ちの問題ではなく、ホルモンによるもので、身体的な体の反応の問題だと知るだけで、ずっと付き合いやすくなります。

簡単な記録をつけると、急なストレス・脱水・カフェイン摂取など、症状を悪化させるパターンが分かり、
「いつも以上に休息を心がける・十分な水分をとる」などの対処がしやすくなることもあります。

授乳を続けていると、数分で症状がおさまるようになる人もいます。長期に授乳していると症状は続くけど、程度がだんだん軽くなると言う人もいます。どうしても辛い場合には、母乳外来でも相談にのりますので、お気軽に御相談下さい。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。