すごいAHCC®~子宮頚癌の原因・ヒトパピローマウイルスが消えた!

AHCC®とは

活性化糖類関連化合物(Active Hexose Correlated Compound)の頭文字をとった成分のことです。シイタケ属の担子菌由来の抽出物で、多糖類、アミノ酸、脂質、ミネラルの混合物を含む複合化合物です。AHCC®は部分アシル化α1,4-グルカンを豊富に含んでいます。キノコ製品の主成分であるβ-グルカンよりも分子量が小さく、吸収されやすい成分が主体です。

α-グルカンとは

グルコース(ブドウ糖)が多数結合して連なった多糖類(グルカン)の一種。α-グルカンとβ-グルカンの2種類に分類され、どちらも酵母や米、菌類など天然に多く存在しています。人間の体内に摂取されたα-グルカンは、唾液アミラーゼや膵液アミラーゼなどによってグルコースやマルトース(麦芽糖)などに分解され、消化吸収されたグルコースは生体の主要なエネルギー源となります。免疫作用のあるβ-グルカンは有名ですが、α-グルカンも同様に免疫系を刺激出来ることが分かっています。

AHCC®の働き:

様々な実験から、AHCC®には抗がん作用、免疫賦活作用、化学療法による副作用の軽減、感染防御作用が認められている。

AHCC®の働き:免疫調整

腸管バリア機能を向上させます。AHCC®は、ナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞の活性を増強し、感染症や悪性腫瘍に対する防御をサポートします。また、腸管免疫応答を促進します。プレバイオティクス様作用があり、腸内環境改善して、免疫力アップにつながります。また、天然由来製品(プロバイオティクスやニンニク)の抽出物と組み合わせて使用することで相乗効果が得られることも分かっています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染と子宮頚がん

子宮頸がんのほとんどは HPV 感染が原因となっています。HPV は100種類以上の型があり、30~40種類が性的接触によって感染します。その中で、子宮頚癌の発がん性のある高リスク型
(16/18/31/33/35/45/52/58など約15種類)と、尖圭コンジローマなど良性のいぼの原因となる低リスク型(6/11型など)があります。最大80%の女性が生涯のうち一度はHPVに感染すると報告されています。HPVは性的接触で子宮頸部(入り口)の粘膜の細胞に感染し、細胞の変化(軽度異形成)を起こしますが、多くの場合は免疫の働きなどによってウイルスは排除されます。何らかの原因でウイルスが排除できずに持続的に感染を起こすと中等度~高度異形成(前がん病変)となり、その一部が子宮頸がんに進行します。HPV感染が起こった女性のうち子宮頸がんを発症するのは0.1%程度と推計されています。

HPV感染の治療

治療方法は特に無いのですが、免疫力を上げるために健康的な生活をするのはお勧めです。また保険適応は無いのですが、イボの治療として効果があると言われている、ヨクイニンという漢方薬がHPV感染のある子宮頚部異形成に効果があったという報告もありますが、これは明らかに証拠があるわけではありません。

HPV感染とAHCC®

HPV感染において、AHCC®を半年間投与したところ、HPV感染が消失したという研究データがあります。

  • Phase II 臨床試験:AHCCによる持続的HPV感染の排除:研究概要:​50人の30歳以上の女性を対象に、2年以上の持続的な高リスクタイプHPV感染(子宮頚癌と関連がある約15種類のHPV感染)に対するAHCCの効果を評価するランダム化二重盲検プラセボ対照試験。結果:​AHCCを1日3g、6か月間摂取したグループでは、63.6%(14/22人)がHPV DNA/RNA陰性となり、そのうち64.3%(9/14人)は6か月後も陰性を維持。​一方、プラセボ群では10.5%(2/19人)のみが12か月後に陰性となった。その後、非盲検試験持続を選択した12人のプラセボ群でAHCC®補充後6か月後に50%(N=6)が陰性に。HPV持続感染が消失した奏効率は全体で、58.8%となった。免疫マーカーとの関連:​IFN-β(インターフェロンβ)レベルが20 pg/mL未満に抑制された場合、T細胞およびIFN-γの増加とHPV感染の持続的な排除が関連していた。出典:​Smith JA et al., Frontiers in Oncology, 2022.
  • パイロット研究:AHCCの用量と効果の検討:研究概要:​10人ずつの女性を対象に、AHCC 3gまたは1gをそれぞれ5週間から8か月間摂取し、HR-HPV感染の排除効果を評価。結果:3g群では、6人中4人(66.7%)が3〜6か月でHPV陰性化。1g群では、9人中4人(44.4%)が7か月でHPV陰性化。免疫マーカーとの関連:​IFN-βレベルが25 pg/mL未満に抑制された場合、HPV感染の排除と関連していた。出典:​Smith JA et al., Frontiers in Oncology, 2019.
  • 観察研究:AHCCLactobacillus Crispatus M247の併用効果:研究概要:​40人の女性を対象に、持続的なHR-HPV感染および子宮頚部軽度異形成(LSIL・Low-grade Squamous Intraepithelial Lesion)に対するAHCCとLactobacillus Crispatus M247の併用効果を評価。結果:​併用により、高リスクタイプHPV感染(子宮頚癌と関連がある約15種類のHPV感染)の排除率およびLSILの退縮率が有意に向上し、副作用は報告されなかった。出典:​Martinelli et al., Annals of Research in Oncology, 2024.

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この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。