レム睡眠が大切

睡眠にはレム睡眠(REM睡眠)とノンレム睡眠(NREM睡眠)の2つの種類がある。

 レム睡眠(REM睡眠)

  • 眼球が急速に動く(Rapid Eye Movement)
  • 脳は覚醒時に近いほど活発
  • 夢を見ることが多い
  • 筋肉はほぼ完全に弛緩している(体は動かない)
  • 記憶や感情の整理、創造性の向上、学習した情報の定着
  • 成人では全睡眠時間の約20~25%、朝方に近づくにつれ増える

ノンレム睡眠(NREM睡眠)

ノンレム睡眠はさらに4段階(現在は一般的に3段階に整理)に分けられます。それぞれ深さや役割が異なります。

ステージ1: 入眠期

    • 浅い眠り
    • 瞑想やうたた寝に近い状態
    • 短い時間(数分)
    • リラックス状態への移行の時期

ステージ2: 軽い睡眠

    • 睡眠全体の約50%を占める
    • 体温と心拍が下がり、筋肉が弛緩
    • 意識が完全に遮断される
    • 心身の準備を整える

ステージ3(深い睡眠):

    • 最も深い眠り
    • 起きるのが困難(起こされるとぼんやりした状態)
    • 脳波が遅くなる(デルタ波)
    •  身体の回復(成長ホルモンの分泌)
    •  免疫力の強化
    • 疲労の回復

レム睡眠とノンレム睡眠の違い

特徴 レム睡眠 ノンレム睡眠
脳の活動 活発 低下
身体の状態 筋肉が弛緩 筋肉が動くこともある
主な役割 記憶・感情の整理 身体の修復・回復

西多 昌規(にしだ まさき)先生最新刊「眠っている間に体の中で何が起こっているのか」草思社 2024年2月

西多先生は、日本人の睡眠時間が少ないことに警鐘を鳴らしています。また、効果的な睡眠をとるためにも、睡眠時間は、長すぎても、短すぎても認知症のリスクを増してしまうそうです。

深い睡眠は高齢になると減ってくる。

認知症との関連が言われているアミロイドβは、深い睡眠のノンレム睡眠の時に排出される(お掃除される)と言われています。ですが、高齢者になるとノンレム睡眠が少なくなって、浅い睡眠とレム睡眠が主な睡眠になってきます。そして、高齢者になってアミロイドβが蓄積してきてからでは遅いのです。だから、若い内から睡眠の質をあげて、認知症を防ぐようにする必要があります。

レム睡眠が大切

睡眠時間に占める「レム睡眠」の割合が低い人ほど、死亡リスクが高いという研究データがあります。ただ、レム睡眠は自分で増やすことが難しいのだそうです。深い睡眠である「ノンレム睡眠」は、運動をしたり、お風呂に入って深部体温を上げてから寝るなどすることで工夫次第で増やすことが出来ます。でも、レム睡眠を増やす対策というのはあまり無いのです。ただし、深い睡眠は睡眠の前半に出現し、レム睡眠は明け方など睡眠の後半に出現するので、レム睡眠が短い人の死亡リスクが高いというのは、トータル睡眠時間が短い事と関係しているとも言えます。そのため、レム睡眠を増やすためには、睡眠時間をある程度とる必要がありそうです。ただし、長すぎる睡眠も良いわけでは無いので、自分のもっともよい状態になれる睡眠時間をみつけて、それを守るのが健康の秘訣となりそうです。

睡眠時間に関する実験

大学生を対象に一日12時間以上ベッドに横になるようにしたところ、最初のうちは長時間寝て、その後8~9時間の睡眠になったという事でした。そのように長時間横になることで、本当に自分に必要な睡眠を測れる可能性があります。また、実際には、必要な睡眠時間を確保できておらず、睡眠負債を抱えている人が多いと考えられます。

身体の炎症を改善するためにも睡眠が大切

炎症は、異物を身体から排除するための身体の反応です。免疫が働いて、身体の一部が赤くなったり、熱が出たりすることも炎症です。また身体にずっと炎症がおこり続ける様な状態は、タバコやお酒、食事やストレス、寝不足や質の悪い睡眠とも関係します。

自分の適切な睡眠時間を知る

睡眠をはかるデバイスとして、OURAリングを以前からすすめています。他にも様々なデバイスがありますが、正確さではOURAリングをお勧めしています。日本人はみな睡眠時間が短すぎる人が多いので、平日に寝過ぎるくらいを心がけて丁度よいのでは無いでしょうか。ただ、休日の寝だめ、は睡眠リズムを崩してしまうので、健康には逆効果になってしまいます。毎日同じリズムで寝ることがお勧めです。

あなたの睡眠は足りていますか?OURA RING オーラリングの紹介

OURAリングを使って運動量が増えた理由

より正確な睡眠検査

睡眠検査のすすめ

高齢者は寝過ぎないように。

高齢者の場合には、寝過ぎてしまったり、寝床に居すぎることは認知症のリスクを高めてしまうので、寝床に長くいないように気をつけましょう。

良い睡眠とはどんな睡眠か。

人それぞれベストの睡眠時間は異なり個人差が大きいのですが、7時間から8時間がちょうどよい人が多いです。日本人の平均睡眠時間は6時間ちょっとと言われていますが、たりないと睡眠負債を抱えてしまうことになります。良い睡眠は、自分の感覚で、夜によく休めたなと感じられること、規則正しい睡眠がとれることが良い睡眠だと言えます。その中で、睡眠時無呼吸症候群などの病気がある場合にはきちんと治療が必要です。

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。