脳の萎縮予防へ 「マイ・エブリサイズ」 の提案

運動習慣が大切。

健康でいたければ運動は義務です!

「LIFESPAN(ライフスパン) 老いなき世界」デビッド・A・シンクレア著

  • テキサス大学ベンジャミン・レヴィーン教授:歯を磨くのと同じように、自分自身を健康にするために、やって当然の習慣にしなくてはいけません。

WHO推奨、週150分以上の運動を。

運動・身体活動および座位行動に関するガイドライン(WHO Guidelines on physical activity and sedentary behaviour)

1)大前提として、毎週、一定の時間の有酸素運動をする

2)その上で、週に何回か筋トレをする

3)加えて、動かないでじっとしている時間を減らす

一般的な成人 18~64歳

  • 週に150~300分の中強度の有酸素運動、もしくは75~150分の高強度の有酸素運動、またはその組み合わせで同等の時間・強度となる身体活動を実施する。
  • 1週間のうち2日は、中強度以上の負荷をかけた筋力トレーニングを取り入れる。
  • 座位行動は低強度でもいいので身体活動に置き換える。

高齢者 65歳以上

  • 1週間で150~300分の中強度の有酸素運動、もしくは75分~150分の高強度の有酸素運動、もしくはその組み合わせで同等の時間・強度となる身体活動を実施する。
  • 1週間のうち2日は、中強度以上の負荷をかけた筋力トレーニングを取り入れる。
  • 1週間のうち3日は、身体的なバランスや筋力を維持するための複合的な身体活動を行い、転倒を予防する。
  • 座位行動は最小限にとどめ、低強度でもいいので身体活動に置き換える。

妊娠中、産後の女性

    • 1週間で150分程度の中強度の有酸素運動を行う(有酸素運動に加えて、筋力トレーニングやストレッチを取り入れることも非常に有効である)。
    • 座位行動は最小限にとどめて、低強度でもいいので身体活動に置き換える

死の危険因子

世界保健機関(WHO)によると、世界的にみて、死をもたらす危険因子のうち、もっとも死亡の原因となる寄与率が高いのは高血圧(high blood pressure)で、全死亡の13%の原因とみられます。次いで喫煙(tabacco use)(9%)、高血糖(high blood glucose)(6%)と続き、4番目に死亡リスクの高いのが身体活動の不足(physical inactivity)(6%)です。

座っている時間が長いと死亡リスクが高まる

身体活動の不足に加えて、座っているなどじっとしている時間が長い生活も、健康に悪影響を及ぼすことがわかってきました。たとえば、座っている時間と寿命には相関関係がありそうです。オーストラリアの成人約22万2500人を対象にした疫学研究によると、運動習慣があるかどうかにかかわらず、1日のうち座っている時間(座位時間)が0~1時間の人の死亡リスクを1とすると、1日に11時間超座っている人の死亡リスクは1.4倍でした。

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同じ部位の筋力トレーニングを毎日やることは勧められていないとのことですが、家にエアロバイクがあります。どのくらいの頻度でどのくらいこぐのがベストですか?

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里直行先生(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 所属)による認知機能改善のためのおすすめ、「マイエブリサイズ」

日常生活動作をCUE(きっかけ・合図)として運動を継続的に行う方法を開発し、MY EVERYDAY EXERCISE(私の日々の運動)を由来として「マイエブリサイズ」と命名した。朝夕の歯磨き前後に5分間のスクワットや腹筋運動を行う。これで運動を毎日の習慣とする。習慣化するという事がとても大切。

脳の萎縮予防へ「マイ・エブリサイズ」の提案

糖尿病により萎縮する部位は主に前頭葉やその白質(神経線維の通る部分)、海馬を含む側頭葉などであり、そのことが糖尿病でみられる認知症状である遂行機能(ある仕事を計画立ててやり遂げる力です)の低下や処理能力の低下、記銘力の低下にそれぞれつながります。
糖尿病による脳萎縮のスピードは比較的ゆっくりとしていますが、正常の老化でおこる萎縮よりは速く進みます。
九州大学の久山町研究では、65歳以上の地域住民の1238名の方を対象に調べたところ、中年期から糖尿病のあった人は糖尿病のない人に比べ、海馬の萎縮が進んでいることが示さました。
一方、アルツハイマー病ですが、もの忘れを主訴に外来に来られる方のMRIを撮ると、最も早く萎縮してくるのが海馬です。
健常な人の海馬の萎縮率は年に1%であるのに対して、軽度認知機能障害(MCI、mild cognitive impairment)では3%、アルツハイマー病では5%と、格段に早く萎縮が進んでしまいます。
しかし、アルツハイマー病の原因とされるβアミロイドが蓄積してから海馬の萎縮が始まるまでには、10年以上の時間がかかると考えられます。
この時間を利用して、脳の萎縮を予防できる方法として、10年間続けられて、かつ今日からでも始められる簡単な方法とは何でしょうか?それが運動です。でもなかなか運動がつづけられない人が多いです。その中で、歯磨きといった日常生活で行う動作と運動をセットにすることで、運動を日常生活に組み込むことが出来ます。それがマイエブリサイズの提案です。
例えば、歯磨きの前後に腕立て伏せ(一種のレジスタンス運動で有酸素運動でもあります)を20回します。これを朝晩の歯磨きの前後にやれば、割といい運動になります。運動は腕立て伏せに限らず、スクワットでも何でも構いません。自分の好きな運動を好きな分量を決めて、まずは始めてください(最初は至極簡単なもので結構です)。
そして自分の「マイ・エブリサイズ」を創造してみてください(日常生活動作を歯磨き以外、例えば、ひげそり、に変えてももちろんOKです)。
「マイ・エブリサイズ」を話題にまわりの方々と楽しくコミュニケーションできれば、認知症予防への効果も倍増と思います。
認知症に影響する因子として、加齢、肥満、糖尿病、フレイルと遺伝因子が関係するとありますが、それもライフスタイル(社会文化活動、栄養や運動)も大きく関わっているということです。

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アルツハイマー病真実と終焉

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著者 デール・ブレデセン (著),白澤 卓二 (監修),山口 茜 (訳)

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この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。