EATとの出会い
EATとの出会いは、ゆいクリニックに栄養についての講演をしに来てくれた内山葉子先生からの紹介でした。EATは耳鼻科医だけでは無く、内科医や皮膚科医など様々な分野の先生が行っています。というのも、EATが様々な疾患に効果があるからです。
慢性上咽頭炎が関与しうる疾患と症状(日本病巣疾患研究会HPより)
上咽頭炎による直接症状(放射痛を含む) | 咽頭違和感、後鼻漏、咳喘息、痰、首こり、肩こり、頭痛、耳鳴り、舌痛、歯の知覚過敏、多歯痛、顎関節痛など |
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自律神経系の乱れを介した症状 | 全身倦怠感、めまい、睡眠障害(不眠・過眠)、起立性調節障害、記憶力・集中力の低下、過敏性腸症候群(下痢・腹痛など)、機能性胃腸症(胃もたれ、胃痛など)、むずむず脚症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症など |
病巣炎症として免疫を介した二次疾患 | IgA腎症、ネフローゼ症候群、関節炎、胸肋鎖骨過形成症、掌蹠嚢疱症、乾癬、慢性湿疹、アトピー性皮膚炎など |
2019年糸満のかおる医院で見学
そんな中、ゆいクリニックでは、2019年5月頃より上咽頭擦過治療(EAT,Bスポット)を開始して、診療の一環として行ってきました。開始前には糸満のかおる医院で、新垣香太先生に夫と一緒に手技を研修させてもらい、当院での治療の一環として取り入れました。けれども耳鼻科医では無い私にとってはEATを行うことは最初は不安がありました。最初の頃にはかなりの量の鼻血を出した方もいました。そんな中、病巣疾患研究会に問い合わせをさせてもらって、耳鼻科での再度の研修をする機会を得ることが出来ました。
2022年10月に、もぎたて耳鼻科:茂木立学先生にて研修
茂木立先生のところを受診した方に了承を得て、実際にEATの手技を行い、私の手技で問題ないかどうか先生にみていただくことが出来ました。そこで、手技的に問題ないというお墨付きを頂き、またインスピグスという処置も教わることができて、その後さらに地震をもってEATを行うことが出来るようになっています。そのことについての詳細は、下記のコラムで紹介しました。(私自身もEATをうけて内視鏡でのチェックもしてもらいました!)
上咽頭擦過治療(EAT,Bスポット)うけてきました!
先日、当院での新型コロナウィルス感染症後遺症を主訴に来院した方のEAT成績をアップしました!
2021年7月から2023年10月の間に、コロナウィルス感染後遺症が疑われる症状があり、EATを当院で受けられた方28人中、効果があった方は15人で53.6%です。
コロナ後遺症でEATを受けられた回数別受診状況。
6回以上施術をうけた12人中効果があった方は9人で75%
2~5回施術を受けた13人中効果があった方は5人で38.4%
1回で中断した方:3人中効果があった方は1人で33.3%
(※Youtube動画作成後にデータを見直ししたので、動画との結果に差異が生じました)
当院でのEATの成績についてまとめました。
当院でEATを開始した2019年から2023年10月までの間にEATを当院で受けられた方186人中、効果があった方は87人で46.7%です。
一回しか施術を受けなかった52人を除いた134人中、効果があった方は85人で63.4%でした。
EATうけた186人を、施術をうけた回数で分けると、
- 1回 52人
- 2~5回 69人
- 6~10回 30人
- 11回以上 35人
EATを受けた症状
主訴は、コロナ後遺症、鼻症状、後鼻漏、腎臓病、頭痛、咽頭痛、副鼻腔炎、乾癬、扁桃炎等でEATを受けられていました。
受診回数別効果について。
6回以上施術を受けた65人中、効果があった方は52人で80%
(軽快27人・少し軽快25人)
11回以上の施術を受けた35人中、効果があった方は24人で68.5%
(軽快14人・少し軽快10人)
6~10回の施術を受けた方30人中、効果があった方は28人で93.3%
(軽快13人・少し軽快15人)
2~5回施術を受けた69人中効果があった方は33人で47.8%
(軽快10人・少し軽快23人)
1回で中断した方:52人中効果があった方は2人で3.8%
受診回数では、2~5回以下が69人でもっとも多く、6回以上受けた方も65人いましたが、その中で6~10回施術で治療を終了している人たちが、最も効果が高く、93.3%となりました。
EATを2回以上受けていると6割以上で効果が得られていますが、痛みのある治療で、通院も必要なため、施術を続けていけるかどうかがポイントかと思われます。一般的に効果は6~7割といわれていますが当院の結果も同様でした。
費用は安価ですが、痛みのある治療のためを受けるかどうか、迷うこともあるかと思います。ただ、EAT治療を通して、劇的に効果を得られる方がいらしゃるため、治療者としては、治療の選択肢の1つとして手応えを感じています。継続治療するにあたり、「効果判定は3,4ヶ月目からと茂木立先生は説明されています」が、早い時期にある程度の手応えがあった方が続けやすいのではないかと思います。
当院でEATを受けた方の感想
塩化亜鉛溶液を用いた EAT<イート>(上咽頭擦過治療)Bスポット療法
- 上咽頭炎の治療として効果的なものは0.5%~1%塩化亜鉛溶液を染みこませた綿棒を用いて、鼻と喉から直接上咽頭に薬液を擦りつけることです。
- この治療はEAT<イート>(Epipharyngeal Abrasive Therapy、上咽頭擦過治療)と命名されています。
EATの作用機序
- 第一の機序は塩化亜鉛による上咽頭の炎症が沈静化です。
- 第二の機序はEATの瀉血作用です。上咽頭の血のめぐりの滞りを改善して循環を良くする可能性があります。脳脊髄液・リンパ液・静脈還流の改善、老廃物の除去などが期待できます。
- 第三の機序は迷走神経刺激です。上咽頭は迷走神経と舌咽神経の支配を受けていますがEATに伴う迷走神経刺激が同治療に伴う様々な症状の改善に密接に関与している可能性があります。迷走神経機能の改善、炎症反射の改善などが期待できます。
慢性上咽頭炎の治療
慢性上咽頭炎の治療はEATが効果的です。ただし、一回の治療では炎症が改善しません。週1回を3~9ヵ月間、EATを続けて行う必要があります。
継続的に6ヵ月、24回の処置で6~7割の患者さんの症状が改善されます。
治療に痛みを伴い、通院加療が必要です。この点とご自身の症状とを天秤にかけ治療を希望の場合は治療を続けて下さい。
EATを受けた後の身体の反応
治療により数時間痛みを伴い、血の塊や血の混ざった痰が数日続く場合があります。
治療効果の1つが副交感神経刺激作用で、痛い治療なのに体はリラックスする方向に進みます。でも、鼻の中は逆で数時間くしゃみ、鼻水が続きます。
処置により風邪をひいた状態と同じような状態になるため、発熱、一時的なだるさの悪化などの症状を来たします。免疫に作用した結果です。
効果が見られる時期は多くは4ヶ月目くらいから(茂木立先生より)
一般的に週1回を3ヵ月間この療法を行うと、上咽頭の免疫がかわり、4か月目から様々な症状が軽減していきます。(少しの変化は治療開始1ヵ月でわかります。)
新型コロナウィルス感染症の後遺症にEAT(Bスポット療法=上咽頭擦過治療)が有効?!
上咽頭擦過治療EAT(Bスポット療法)を受けられる施設
EAT 慢性上咽頭炎治療 医療機関一覧
日本病巣疾患研究会HPよりhttps://jfir.jp/eat-facilities/