授乳中に避けるべき薬、母乳育児中の薬とタバコとお酒とカフェイン

授乳中に注意する必要がある薬

  • 抗がん剤:消化管からの吸収が悪い薬やごく少量で使用する場合には授乳が可能な場合もある。
  • 免疫抑制剤:種類によっては使用可能な薬もある。
  • 放射性物質:放射性ヨウ素は赤ちゃんの甲状腺機能低下を引き起こす可能性がある。その他放射性物質を使用する場合には半減期の5~10倍の期間の授乳を控えることが勧められている。
  • 抗てんかん薬:どの薬も内服中に授乳可能だが、半減期の長いベンゾジアゼピン系の薬(ジアゼパム、クロナゼパムやロフラゼプ酸エチル、フェノバルビタールなどでは、赤ちゃんが眠りがちになったり、哺乳力低下や体重が増えにくいなどの問題が起こることがあるので注意が必要です。
  • 抗うつ薬:どの薬も授乳可能。SSRIの中でもジェイゾロフトやパキシルは母乳中への移行が少ないというデータがあるので、これらが使用しやすい。
  • 抗躁薬:代表的な薬剤である、炭酸リチウムは、赤ちゃんに症状がでる可能性がある薬なので注意が必要です。バルプロ酸、カルバマゼピンは母乳中への移行が少ないので授乳に問題ない。
  • 抗不安薬、睡眠薬:赤ちゃんが眠りがちになるなどの症状がないか注意は必要ですが、授乳可能です。
  • 抗精神病薬:統合失調症に主に使用される薬ですが、基本的にはどの薬でも授乳は可能です。赤ちゃんの症状を注意してみていく必要があります。

上記以外のお薬は特に心配なく使用できます!

抗生剤、抗ウィルス薬(インフルエンザのお薬やヘルペスの薬など)、新型コロナウィルス感染症薬、解熱鎮痛薬、抗アレルギー薬、気管支拡張薬、甲状腺薬、造影剤、予防接種、市販の風邪薬、漢方薬など

授乳中の薬についての情報を得られるサイト

母乳育児中の薬について

母乳育児中の薬について

それでも心配だったらゆいクリニックで相談可能です。

受診歴のある方なら電話相談可能。受診歴の無い方はオンライン相談可能です。

授乳中のタバコ

授乳中にタバコを吸っても赤ちゃんに授乳は可能です。母乳をあげずに人工乳をあげるより、母乳育児を続けた方が良いです。詳しくは下記のコラムをみてください。

授乳中で疲れやすい、タバコを吸ってしまった。

授乳中のお酒、アルコール

グラス一杯のワイン、ビールコップ一杯程度であれば、赤ちゃんにはあまり影響しないですので、授乳を続けてもかまいません。多量に飲むのは避けるようにしましょう。飲酒後30~60分で母乳のアルコール濃度が最も高くなるので、アルコール摂取後2~2.5時間か、酔いが冷めるまでは授乳を控えることを勧める意見もあります。

授乳中のカフェイン

コーヒー3杯までなら乳児の尿にカフェインは検出されなかったと報告があります。ただし、カフェインの血中半減期(身体の中でのカフェインがうんと減る時期)は成人で4.9時間、乳児で80~97.5時間と乳児の身体にカフェインがたまってしまうリスクがあるので、注意が必要です。また、カフェインは、ウーロン茶やほうじ茶、玄米茶、緑茶、紅茶、栄養ドリンクにも含まれます。

コーヒー(浸出液) 0.06 g/100 mL
(=60 mg/100 mL)
ウーロン茶(浸出液) 0.02 g/100 mL
(=20 mg/100 mL)

カフェインは毒ですよ!

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この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。