離乳食=補完食

離乳食とは

離乳食は、赤ちゃんが母乳やミルクだけでなく、固形食品を食べるようになる過程の食事を言います。一般的には、離乳食と言われていますが、この言葉は、乳から離れる食事というイメージで、おっぱいをやめて固形食をどんどん食べさせる方が良いと考えられがちになってしまいます。でも、実際には完全食である母乳に補ってあげる食事なので、「補完食」という言葉が勧められていたりします。通常、赤ちゃんの食事は、生後5~6か月頃から始まりますが、具体的なタイミングは個々の赤ちゃんの成長と発達の状況に異なります。お座りがしっかりできるようになってからがいいとされています。よだれがでたり、食べる姿をみながら口をもぐもぐ動かしたりするようになることもスタートするタイミングの目安になります。家族が食べるところを見せて、食べたい意欲が少しずつ湧くように工夫するのも大切です。

補完食の目的

補完食の目的は、食べるための練習と身体に必要な栄養を摂るという2つがあります。

食べるための練習

練習なので、最初から栄養を摂るという事は考えずに、食べ物に慣れるという事を行いましょう。最初は赤ちゃんが手で握りやすくかじりとれない物で太い油性ペン程の長さと太さのものでなめたり味を感じたりすると良いです。だし用昆布、するめ、ブロッコリーの茎、セロリや太いきゅうりなどがお勧めです。おもちゃを食べ物に持ち替えて食べ物をなめて感じるという、おもちゃがわりの感覚で勧めていくと良いです。

その次の段階は、ペースト状のものをゴックンとする飲み込む時期になります。つぶつぶ食感をいやがる場合には均一食感で試すと良いです。さらに次の段階は舌と上あごですりつぶしてたべられるようになるもぐもぐ期になります。

さらに一口をかじり摂ってカミカミするようになります。柔らかいお魚や卵焼き、ゆで野菜、果物やおにぎりなどが食べられるようになります。

いつからはじめるのか

補完食を始める時期は、生後6ヶ月以降がお勧めです。発達の早い赤ちゃんも居るので、例外的には6ヶ月より前に始める場合もあるかもしれませんが、基本的にはしっかりと座れるようになってきてからが良いです。母乳を飲むことで赤ちゃんは病気から身体を守る免疫力をお母さんからもらっています。その恩恵は最大限に受けながら、食事を開始するという事では、早すぎるほうが良いという事はありません。

よく何ヶ月からもぐもぐ、何ヶ月からカミカミ期、などという記載を見ますが、赤ちゃんの発達は個人差があるので、赤ちゃんの状況で食事を勧めていくと良いかと思います。

補完食開始の目安

  • 首がしっかり座り、背筋を伸ばして座ることが出来る。
  • 食べ物をてにとって口に持ってくることが出来る
  • 食べ物を飲み込むことができる(準備がまだの場合には、口に食べ物をいれてもべーっと吐き出します)

上記の発達がみられて、生後6ヶ月すぎたら補完食開始できると考えられます。

注:食べ物に手を伸ばす、夜中に目をさましてしまう、おっぱいをほしがる回数が増える、これらだけでは補完食開始は勧められません。夜に目を覚ましてしまっても、食事を始めたらよく眠るようになるわけではありません。おっぱいを飲んでいると夜中になんどか授乳で起きることが一般的ですが、個人差があるので、2歳過ぎまでは夜中の授乳が続くことも多いです。

食べる姿勢

食べるための姿勢も大切で、座面が固く、足の裏がしっかり下に付く姿勢で食べさせるようにさせましょう。バウンサーやお尻がしずむクッションなどは食べるときには不向きです。

補完食の意味、ほしがるだけおっぱいをあげて!

生後6ヶ月間は母乳だけをあげて、それ以降はおっぱいに補うように食事をあげるようにします。おっぱいはほしがるだけあげましょう。おっぱいを飲みすぎて食事が進まなくなるという事はありません。もし食事が進まないのであればそれはまだ赤ちゃんがまだその時期ではないのです。

補完食の時期に水やお茶、ジュースは必要ありません。

補完食は固形食の開始です。母乳や人工乳は約9割が水分なので、お茶やジュースをあたえる必要はありません。以前、補完食の開始前に様々な味になれさせるという事で、果汁をあたえるという事が進められていたことがありましたが、これはまったく必要無く、さらに市販のジュースを使用すると身体に悪い甘味料や添加物をとってしまう可能性があるので、避けましょう。

野菜ジュースやめて~市販の野菜ジュースは健康に良くない!

子ども達につたえたい、ジュースの危険性

たとえ、果汁100%ジュースでも、糖分を取り過ぎになってしまうリスク、虫歯のリスクがあります。

固さや大きさに注意して!

のどにつまる可能性のある固くて丸い物、細い野菜スティック、ナッツ類、ブドウ、固い豆などは避けましょう。歯茎でかじり摂って丸呑みして、それをのどにつまらせるような大きさの物はあたえないように気をつけましょう。パンものどにつまらせる可能性があるので要注意です。

腸を良くする

また、赤ちゃんの腸の状態を良くするために小麦、乳製品、砂糖、食品添加物は出来るだけ控えるようにしましょう。パンやヨーグルトはお勧めしません。

腸内環境を良くしましょう!

フォローアップミルクはほぼ牛乳です。

補完食の時期にフォローアップミルクが勧められたりしますが、フォローアップミルクの成分は母乳より牛乳に近い成分です。タンパク質は消化が難しく、腸内環境にも悪影響が心配されます。WHOはフォローアップミルクは不要だと明言しています。もし母乳が足りなくて人工乳を使っている場合には、補完食の時期に人工乳からフォローアップミルクに変えないようにしましょう。母乳だけで授乳している場合には、補完食の時期に人工乳やフォローアップミルクを補足することは不要です。

何を食べさせるか、栄養を摂る。

赤ちゃんには甘い物をあたえずに、きちんと栄養がある物からあげましょう。砂糖のはいった甘いお菓子などは麻薬のように中毒性があります。きちんと栄養があるものを赤ちゃんがたべて栄養を摂るためには、砂糖、小麦、乳製品、食品添加物を含む加工品はあたえないように気をつけましょう。人間は本能的に甘い物を好んで、苦い物を嫌います。糖分や脂肪は本能的においしいと感じて欲してしまいます。そのようなものも出来るだけ避けるようにしましょう。赤ちゃんのうちに色んな味を感じる機会があると食べ物に慣れてくれますが、2歳近くなると新しい食べ物に用心深くなって、いやがるようになることがあります。早いうちから慣れることがお勧めです。補完食の時期に野菜をたくさん食べる事で、大きくなってからも野菜が食べられるようになります。

野菜好きにする

甘い物を好んで、苦い物を嫌うという人間の本能があります。食べ物が豊富にない原始の時代には糖分や脂肪をたくさんとって身体にエネルギーを蓄える必要がありました。チョコレートもクッキーもケーキもなかった時代ならそれで良かったのですが、本能にまかせて食べると栄養がとれないという時代に私たちは生きています。また苦い物を嫌うのは毒をとらないようにする本能だったのです。でも、経験を積むとそれが食べられる物だと感じられて、野菜を食べる事が好きになります。できるだけ早くに子どもに野菜を食べる機会をあげて野菜好きにしましょう。果物から食べると野菜を食べなくなるかもしれません。りんごやミカンをあげる前に、食事は野菜から始めることがお勧めです。また、甘みの強いかぼちゃや人参ではなく、緑の葉野菜などをたべさる事がお勧めです。果物と混ぜないで食べさせるようにすることがお勧めです。果物はすっぱいものからあげるようにしましょう。

すりおろし野菜はとってもおすすめ。

健康のために生野菜と果物を食べましょう!

ネットにある離乳食レシピは参考にしないで!

ネットでは、様々な離乳食レシピが紹介されています。でも、そもそも離乳食は赤ちゃんのためだけに作る者ではありません。補完食として家庭の食事になれて、しっかり野菜を食べられるようにするためにも、家族の食事から取り分けることがお勧めです。

市販のベビーフードは出来るだけ使わないで!原材料をチェックしよう!

既製品には砂糖が使われている物が多いです。また、オーガニックでもリンゴなどの果物が含まれていることが多いです。野菜が入っていてもほとんどが果物という商品も多かったりします。実際に食べてみるととても甘い味付けになっていることが多いです。また市販品は高熱で加熱殺菌されているため、ビタミンや酵素などの栄養は壊れてしまっている可能性が高いです。ベビーフードを使うよりも家族の食事から取り分けてあげることで赤ちゃんはしっかりと栄養がとれて野菜が食べられるようになります。野菜をフードプロセッサーなどで粉砕して冷凍しておくことで、味噌汁とまぜて簡単に赤ちゃんに食べられるようになります。

電子レンジを使わないで!

冷凍して取り置きした食材を電子レンジで温めることは普通に行われて居ることです。でも、電子レンジを使うことで食品の栄養を壊すだけで無く、タンパク質を変性させてしまい、食べた場合に体内にAGE(最終糖化産物)を取り込むことになりかねません。温めるときには電子レンジでは無く、鍋や、皿ごと炊飯器の保温モードにいれると簡単に温められます。

電子レンジやめて!

質問:電子レンジを使わない場合、冷凍された食品をどのように温めたら良いですか?

ジャンクフードはあげない!

子ども達がお菓子を好きになるのは、小さい頃の体験が大きく関係します。大人がコントロールできる幼児期から、お菓子やファーストフードなどはあたえないようにすることが大切です。これらの味に子どもの頃から慣れると大人になっても食べ続けてしまいます。赤ちゃん用せんべい、ビスケットは不要です。

アレルギーについて

アレルギーに注意しながら進めていくことが大切です。便の状態も食べ物によって変化しますので、食事を始めたら、便の状態を意識して観察しましょう。卵については火を通した卵黄からはじめることがお勧めです。卵白部分も必ず加熱した物をあげましょう。小麦と乳製品はアレルギーの有無にかかわらず腸内環境に悪影響を及ぼすので、出来るだけ避けることがお勧めです。ナッツ類もアレルギーの心配のある食材です。このようなリスクのある食材をあたえるときには、アレルギーとして何が原因がわからなくなるといけないので、初めてあげるときには他の食品と一緒ではなく、日を分けて一種類ずつ少しずつあげることがお勧めです。

6ヶ月以前に避ける物

基本的には6ヶ月をすぎてから、補完食開始がお勧めですが、それ以前に食事を始めた場合でも、6ヶ月より以前には、小麦(パンや麺類)、ナッツ、魚、卵、牛乳、チーズ、レバー、魚介類などはあたえないようにしましょう。

1歳まで避ける物

ハチミツ、生の貝(3歳まで控えましょう)、牛乳、ピーナッツなど丸ごとのナッツ類(5歳までは誤嚥の可能性があるので避ける)、生や半熟の卵(サルモネラ食中毒のリスクがあるので2歳まで控えましょう)、加工食品(塩分が多すぎる)、砂糖または人工甘味料入りの食品や飲料、お茶やコーヒー(カフェインが含まれている。ウーロン茶も避けましょう)

上記にあげた食品の中で、加工食品、砂糖、人工甘味料、カフェインは1歳すぎても避けることがお勧めです。糖質はあたえすぎないように注意しましょう。

いつも食べている加工品に注意!~遺伝子組み換え食品について

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現代人は砂糖を摂りすぎている!

人工甘味料を避けて!

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カフェインは毒ですよ!

赤ちゃんに大切な栄養

ビタミンD:丈夫な骨や歯の形成に大切です。また免疫力にもとても大切な栄養素です。しっかり日光に当たることで体内で形成されるのですが、日光不足の赤ちゃんも多いので意識的に摂ることが必要です。またサプリメントでの摂取も推奨されています。ビタミンDの不足は、自己免疫疾患、高血圧や感染症、糖尿病、認知機能との関連なども言われています。ビタミンDは魚介類に含まれています。鮭、カレイ、サンマやヒラメ、しらす、干しシイタケなどに豊富だと言われています。

ビタミンDについて

妊娠したい人と妊婦さんにとっても大切なビタミンD

ビタミンA:免疫力、視力、皮膚の状態、赤血球の循環に大切な栄養です。肉や魚、卵などの動物性食品やニンジンやブロッコリーなどの緑黄色野菜などに多く含まれます。

レバーを食べるとビタミンAのとりすぎになるの?

:赤ちゃんは生まれてから1年で3倍にも体重が増えます。そのため、赤血球を増やす必要があり、たくさんの栄養を摂る必要があります。多くの赤ちゃんが生後半年を過ぎると子宮の中で蓄えていた鉄を使い切って鉄不足に陥りがちです。そこで補完食で鉄を補ってあげる必要があります。食材としては煮干しが一押しです。値段も安く栄養豊富です。

鉄不足と鉄欠乏性貧血を改善するために大切な栄養

最初はいやがってもあきらめないで!

最初はいやがる野菜でも、続けていくと食べられるようになったりします。最初はいやがっていても続けると食べられるようになったという研究報告があるそうです。是非根気よく何回もトライしてみましょう。そんなときに赤ちゃんのためだけに手間をかけて食事を作ると大変だし、食べさせようと無理強いしたくなるかもしれません。大人の食材から取り分けて揚げるようにしましょう。味見の量はスプーン一杯でも十分です。まずは慣れていくことが大切です。また自分で手づかみで食べると食べられたりすることもあります。赤ちゃんには素材そのままの味で食べさせて良いです。味噌汁やだし汁を混ぜることで食べやすくなったりもするかと思います。一緒にたべておいしいね、と喜んであげましょう。怖い顔で食べさせようとしたら、赤ちゃんも嫌になってしまいます。笑顔で一緒に食事を楽しむことが大切です。目の前で同じ物をおいしそうに食べて、食べる事は楽しいことだと教えてあげましょう。

カミカミできるようになった赤ちゃんに、特に食べさせたいお勧め食材

お魚、固ゆでの卵黄、豆類などタンパク質が豊富な食材、煮干しの粉(だし汁もお勧め)

煮干しだし味噌汁のおすすめ

補完食を始めてもおっぱいはほしがるだけあげましょう!

補完食の期間中も、母乳やミルクが主な栄養源です。量やペースは赤ちゃんによりますが、はじめのうちは練習なので、食べてくれなかったとしても味になれてもらうことや食べるという動作の練習だと思ってその子のペースをみながらすすめていきましょう。

離乳食講座

ゆいクリニックでは離乳食講座を行っています。開催日についてはゆいクリニックHPのさんルームスケジュールをご参照ください。

今回の記事はこちらも参考にしました。

人生で一番大事な 最初の1000日の食事 「妊娠」から「2歳」まで、「赤ちゃんの食事」完全BOOK :著者クレア・ルウェリン (著),ヘイリー・サイラッド (著),上田玲子 (監修)

お勧め離乳食(補完食)の本:ゆいクリニック受付にて販売中

離乳食(出版社:日本母乳の会)

離乳食のすすめ方 

その他の離乳食関連のコラム

「離乳食に玄米はOKかNGか」

離乳食に玄米OKと言う人とダメな人がいます。どちらが正しいですか?

離乳食講座の感想のコラム 

離乳食講座の感想

3歳までに気をつけたい食べ物

赤ちゃんにおっぱいを2歳過ぎまで飲ませた方が良い理由。

ラ・レーチェ・リ-グの離乳食の動画もご紹介します。

ラレーチェリーグについてはこちらをご参照ください。

母乳育児を心から支援し、ラ・レーチェ・リーグのよき理解者でもある小児科医の江田さんに深く感謝いたします。 対談内の情報は、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。 また、ラ・レーチェ・リーグの見解を必ずしもすべて反映しているわけではないことをあらかじめご了承ください 。 0:00 動画について 医師紹介 6:44 やわらかいものから始めていますが、おかゆをいやがるので離乳食がすすみません。 13:12 健診や本で紹介されるほどの量を食べないので心配です 23:50 母乳や乳児用ミルクを減らしたらもっと食べるようになりますか? 28:58 食べない理由ってなんでしょうか。いろいろ手を尽くしても効果が出ません。 43:32 フォローアップミルクは鉄分が多いと聞きます。飲ませたほうがいいのでしょうか?ミルクやフォローアップミルクを料理に使う必要はありますか? 47:32 離乳食の塩分や脂肪分は赤ちゃんには負担でしょうか?いつまで家族とは別の味付けで準備すべきでしょうか? 56:38 食べない子が医師にかかる目安を教えてください 68:13 参考文献

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。