不妊治療
ゆいクリニックでは高度生殖医療は行っていません。積極的な一般不妊治療も行っていません。
ゆいクリニックでは妊娠のための一般的な検査と簡単な治療のみ行っています。ゆいクリニックができる自然療法によって心と体を整えたり、妊娠するためのアドバイス食事指導などをおこないます。
今回ゆいクリニックで行う基本検査についてと、妊娠のために必要な検査について説明します。ゆいクリニックの不妊治療についてはこちらをご参照ください。
妊娠のためには以下の5つの要素が大切です。
- 排卵
- 子宮頸管粘液
- 卵管
- 胚の着床(子宮内膜の状態)
- 精子
①排卵についての検査
- 排卵:卵巣内の卵子は卵胞と呼ばれる小さな袋の中で成熟します。卵胞は徐々に大きくなり、直径が20㎜前後になると破裂して卵子が飛び出してきます。これが排卵です。
経膣超音波検査
超音波検査により卵巣に直径20㎜前後の卵胞が確認できれば卵子は発育しており、基本的には排卵は起こるだろうと判断します。卵胞は2日で3mm程度発育すると考えられます。また排卵が起こると基礎体温は上昇し高温期になり、全体として2相性(排卵前の低温期と排卵後の高温期)を示します。超音波検査では、子宮卵巣の形の異常の有無を検査することができます。形の異常があった場合でも直ちに不妊症と診断することはないです。
★基礎体温
排卵後に卵巣から出てくる黄体ホルモンにはわずかに体温を上げる効果があります。そのわずかな体温変化をみることで、排卵が起こっているのかどうか、また排卵後に受精卵が子宮内で育つために大切な黄体ホルモンが十分にでているかどうかを推測することが出来ます。排卵後に0.3度程度上昇する高温相は10日から14日続くのが通常ですが、短いと黄体機能不全の状態であり、妊娠しにくいか、妊娠しても流産してしまうことになります。ただし、黄体ホルモンは排卵する卵の状態によっても変化するため、一度高温相が短いからといってずっとその状態が続くとは限りません。
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ただし、2相性であっても以下の点で注意が必要です。
★未破裂卵胞となることがある。まれに発育した卵胞が破裂せずに、つまり卵胞内に卵子が残ったまま体温が高温期に移行する場合があります。未破裂卵胞となる頻度は低いのですが、頻繁に起こっている場合は不妊の原因になります。
★卵子の存在しない卵胞が発育することがある。過去に発育し、排卵せずに発育停止した卵胞(閉鎖卵胞という)が再び発育してくることがあります。このような周期が多い場合には不妊の原因になります。
★AMH(アンチミューラリアホルモン)について
AMHとは、抗ミュラー管ホルモンの略で、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。血中AMH値が原始卵胞から発育する前胞状卵胞数を反映すると考えられております。
その値は、卵巣内にどれぐらい卵の数が残っているか、つまり卵巣の予備能がどれほどかを反映すると考えられています。AMHの数値が表すのはあくまでも卵子の在庫の目安であって、その卵の質がいいか、順調に育つかは年齢に一番よく相関します。卵子の老化は実年齢に比例するのです。検査費用8660円(2023年8月現在)
②子宮頸管粘液
★ヒューナーテスト:この検査は、性交後試験とも呼ばれます。ヒューナーテストとは、性交の後、 実際に頚管粘液の中に精子が進入できているかを判定する検査です。
子宮頸管(子宮の入口)では、生理周期により異なった性質の 頚管粘液が分泌されています。卵胞が成長し、排卵が近づくと、 頸管粘液の分泌が増え、粘調性が増加します。 この時期にヒューナーテストを行います。
排卵日が近づいた検査前日の夜~当日の朝にセックスをしてから病院へ来てもらいます。生理周期・卵管に問題なく、ヒューナーテストが良好であれば、自然妊娠するはずです。ヒューナーテストが良好でない場合は、 数回行います。次周期に再検査することもあります。クラミジアなどの感染症による子宮頸管(子宮の入り口)の炎症や排卵期の頸管粘液の分泌不全は精子上昇の妨げになることがあります。
③ 受精および胚の子宮腔内への移動
卵管にピックアップされた卵子は卵管を移動し、卵管のほぼ中央で精子と出会い、受精します。さらに受精卵は卵管内を移動しながら5~7日かけて「胚盤胞」という段階まで発育し子宮腔内に到達、着床します。
卵管内の狭窄や癒着は精子や卵子の移動を妨げ、胚の発育に悪影響を与え、受精障害や胚が子宮腔内まで到達できずに卵管内着床(卵管妊娠=子宮外妊娠)の原因になることがあります。卵管がきちんと働けるかをみる検査に子宮卵管造影検査(HSG)があります。
★子宮卵管造影検査(HSG):子宮の入り口から管を入れて、造影剤を子宮内から卵管へ流し込み、子宮内の状態と両側の卵管の通りおよび、卵管からおなかの中への拡がりを見る検査です。卵管は非常に細く超音波ではほとんどみることができませんが、造影剤はレントゲンで白く光るため卵管が通っているかどうかがはっきりとわかります。子宮卵管造影を実施した場合の最も大きな利益は、妊娠しやすくなるということです。両側の卵管を造影剤で押し流すことにより、卵管の通りや働きが良くなります。卵管造影をするだけでその後のタイミングで妊娠が成立することも多いです。
また、子宮卵管造影をすることにより卵管の詰まりなどがわかると、その後の治療方針が決定しやすくなります。ゆいクリニックではこの検査は行っていないため、検査を希望される場合には検査のために他院へ紹介します。
④胚の着床
着床がスムーズに行われるためには、胚の質のみならず子宮内膜の質などの子宮内環境が重要です。黄体ホルモンの分泌が不十分であったり、子宮腔内に子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどがあれば着床障害の原因になる可能性があります。超音波では、子宮内膜の厚さをチェックしたり、子宮の中に受精卵が着床するのに邪魔になるような異常がないかどうか調べることができます。子宮内膜が7mmより薄いと子宮内膜の着床が難しいといわれています。
⑤精子の状態(精液検査)
腟内に射精された精子のなかで運動性能の高い精子のさらにその一部のみが卵管内に到達できます。卵管内の卵子まで到達できる精子は射精された精子の数千分の一といわれています。精子の数や運動率などを調べることも大切です。
タイミング療法
タイミング療法を行う場合、通常、次のような流れで行います。
★排卵チェック
排卵チェックでは、これまでの月経周期や過去の排卵の様子から排卵日を想定します。
過去の基礎体温のグラフより、低温期から上昇期の数日を排卵日と推定します。黄体の寿命は約14日ですので、排卵後は約14日で月経が起こります。月経周期が規則的で28日型の方であれば、おおよそ月経周期の14日目が排卵日になります。
超音波検査で卵胞の成長をチェックし、排卵日をより正確に判断します。
排卵時期が近づいてきたら来院していただき、経腟超音波検査で卵胞の大きさを測定し成長をチェックします。自然周期の場合には、卵胞径が12mm程度になってからは、1日あたり約1.5~2mmのペースで成長し、卵胞径が18~22mm程度になると排卵されるので、あと何日で排卵するかを予測することができます。
また、排卵期には頸管粘液の性状も変わります。排卵時期以外は、子宮内に細菌などが侵入するのを防ぐために子宮の入り口をブロックしている頸管粘液ですが、排卵が近づくと、精子を受け入れやすくするために透明でよく伸びる性状に変わります。
★妊娠のための性交タイミングは排卵の前がより有効です。なぜなら排卵された卵は24時間しか受精の可能性がないのですが、精子は約3~5日間の寿命が有り、受精能力があります。排卵期の少し前から2日ごとに性交タイミングをとるとより妊娠しやすいです。
排卵期の推定には、基礎体温の上昇も重要な手がかりです。
★血液検査:子どもが欲しいけどなかなか妊娠しない方は、糖尿病の検査をすることも大切な場合があります。コレステロールや血糖コントロールの力をみるために空腹時採血を行うことがあります。
自費ではありますが、ピロリ菌、ペプシノーゲン、ビタミンDなどの検査もお勧めです。
★ホルモン検査(血液検査):LH,FSH,E2,甲状腺ホルモン、
★妊娠のために大切な栄養:栄養状態が悪いと妊娠力が落ちます。妊娠しやすく、妊娠した後に健やかな赤ちゃんを育てるためにも腸内環境を良くするように、砂糖、小麦、乳製品、食品添加物を避けることをおすすめします。又、栄養状態を詳しくみる栄養療法外来もあります。体内ビタミンDの検査は自費3200円ですが、とても大切な検査です。
栄養療法外来
不妊治療中に、妊娠力を高めるために栄養状態を整えることは大切です。ゆいクリニックでは栄養療法外来を受診できます。
★一般生化学検査(¥4330):タンパク質、ビタミンB、鉄などが足りているかどうかを調べます。また、身体の炎症状態なども調べます。
★女性ホルモン、ホルモン検査(LH,FSH,E2,プロラクチン)
★淋菌クラミジア核酸検査:これらに感染していると不妊の原因になることがあります。
★風疹麻疹水痘抗体検査;妊娠前に抗体を持っているかどうかを調べることは大切です。
★亜鉛と銅(¥2000):とても不足している人が多いですが、あらゆる酵素反応に必要なミネラルです。妊娠のためにとても大切なミネラルです。妊娠中のトラブルを防ぐためにも調べておくべきです。
★甲状腺ホルモン(TSH,FT4 ¥1300):甲状腺ホルモン異常があると、不妊の原因になります。また妊娠後に、赤ちゃんの神経精神発達に大きな悪影響があることがわかっています。また、早産や常位胎盤早期剥離のリスクも上がるという報告もあります。産後うつとの関連もあるとの報告もあります。
※上記費用に血液検査実施料と判定量が加算されます。
★骨密度検査(自費¥1500):妊娠中には骨密度が下がります。産後に圧迫骨折をしてしまった方がいるという報告があります。この機会に、ご自身の骨密度の状態を知ることお勧めします。
★AGEスキャン(自費¥1000):AGEとはタンパク質・脂質・核酸などが糖と糖化反応を起こして形成蓄積される老化物質です。これらの蓄積が糖尿病・心血管病・がん・更年期障害・老け顔など多岐にわたる生活習慣病や老年兆候と関連していると報告されています。ご自身の糖化年齢を気軽に測定できます。
カラメルやおこげ等茶色いものは「美味しいなぁ」とかんじるのですが、身体によくないものを何故美味しくかんじるのでしょうか?
★25OHビタミンD(自費¥3200):ビタミンDが不足していると、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群など、妊娠中の病気のリスクや低出生体重児が生まれるリスクが高まります。妊娠中のビタミンD不足が赤ちゃんの脳の発達に悪影響となるとマウスの実験で報告があります。また、子どもの骨が将来にわたってもろくなる危険が高まります。赤ちゃんのビタミンD不足が増えていて、赤ちゃんの頭の骨がもろくなってしまう病気(頭の骨が固くない)が増えています。妊娠したい人にもビタミンDはとても大切です。
★抗ミュラー管ホルモン(自費¥8660)
★ピロリ菌抗体検査(自費¥800)
★オリゴスキャン(自費¥12000):
OligoScan(オリゴスキャン)は、手のひらを吸光光度法によりスキャンする事で、組織や血管壁に沈着している必須・参考ミネラル21元素、有害金属16元素、ミネラルバランスから見たリスクなどのレポート3枚にわたる豊富な解析情報が得られる、非侵襲・迅速に測定する画期的なシステムです。※オリゴスキャンは手のひら(体内)ミネラル蓄積を直接測定します。詳しくはこちらをごらんください。
★子宮癌検査:子宮膣部細胞診(保険約¥1300)、HPV(ヒトパピローマウイルス)(自費¥5500)
★子宮卵管造影検査:ご希望有れば他院へ紹介します。
妊娠したい人のための準備講座-前編後編
妊娠のための基本検査
- 経腟超音波
- 血液検査 LH,FSH、E2,甲状腺ホルモン、AMH(アンチミューラリアンホルモン)、生化学検査
- 淋菌クラミジア核酸検査 風疹麻疹水痘抗体検査
- 精液検査
- 月経後 子宮卵管造影検査(他院へ紹介します)
- 排卵期 ヒューナーテスト、超音波での卵胞チェック
- オプション検査:血液検査で、ペプシノーゲン、ピロリ菌、ビタミンDなどの検査もお勧めです。オリゴスキャン、骨密度検査、AGE検査
これらの検査をすべて行ったら妊娠出来るかどうか分かるのでしょうか?
答え:すべて異常がなくても妊娠できるかどうか分かりません。原因不明不妊と言われる不妊症が多いのです。抗酸化力をアップしていくことはとても大切です。また妊娠前に抗酸化力アップすることは、赤ちゃんの生まれつきの体の異常を減らすためにもとても大切です。
カラメルやおこげ等茶色いものは「美味しいなぁ」とかんじるのですが、身体によくないものを何故美味しくかんじるのでしょうか?