夫婦喧嘩は子どもの脳を傷つける!マルトリートメント(マルトリ)が脳に与える影響と回復

マルトリートメント(マルトリ)

  • Mal 悪い + treatment 扱い

=Maltreatment  不適切な養育

マルトリ=子どもへの避けたいかかわり

友田明美先生

  • 親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる
  • 脳を傷つけない子育て: マンガですっきりわかる
  • 子どもの脳を傷つける親たち

マルトリートメント

避けたい子育て、虐待とは言い切れない大人から子どもに対するよくない関わり

身体的虐待

性的虐待

心理的虐待

ネグレクト

マルトリートメントが健康に影響

  • 心疾患や肺がんにかかるリスクが生涯3ばいにも高まり、寿命が20年低下する。
  • 喫煙
  • 重度肥満
  • 運動不足、
  • 抑うつ
  • 自殺企図
  • アルコール依存
  • 違法薬物
  • がん
  • 脳卒中

体罰を禁止:愛のムチゼロ作戦

  • 「しつけ」でもダメ!

2020年4月から体罰は法律で禁止されました。 世界で59番目 子どもへの暴力のない社会へ

親などによる体罰の禁止を盛り込んだ改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が施行。

健やか親子21ホームページ

https://sukoyaka21.jp/ainomuchizero

こんなことも体罰

言葉で3回注意したけど言うことを聞かないので、頬を叩いた

・ 大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた

・ 友達を殴ってケガをさせたので、同じように子どもを殴った

・ 他人のものを取ったので、お尻を叩いた

・ 宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった

・ 掃除をしないので、雑巾を顔に押しつけた

→ これらは全て体罰です。

冗談のつもりで、「お前なんか生まれてこなければよかった」など、

子どもの存在を否定するようなことを言った

・ やる気を出させるという口実で、きょうだいを引き合いにしてけなした

→ 子どもの心を傷つける行為です。

子ども時代の辛い体験により傷つく脳

脳が傷つく

厳しい体罰により、前頭前野(社会生活に極めて重要な脳部位)の容積が19.1%減少
(Tomoda A et al., Neuroimage, 2009)
・言葉の暴力により、聴覚野(声や音を 知覚する脳部位)が変形
(Tomoda A et al., Neuroimage, 2011)

体罰は百害あって一利なし

  • 親による体罰を受けた子どもと、受けていない子どもの違いについて、約16万人分の子どものデータに基づく分析が行われています。
  • その結果、親による体罰を受けた子どもは、「望ましくない影響」が大きいということが報告されています。
  • 「親による体罰」の影響
  • ネガティブな親子関係
  • 精神的な問題(成人後)
  • 精神的な問題(幼児期)
  • 反社会的な行動(成人後)
  • 反社会的な行動(幼児期)
  • 強い攻撃性(幼児期)

子どもに一人で留守番をさせるのもマルトリートメント

アメリカの多くの州では、小学生以下の子どもだけで留守番させるとネグレクトとして法律で罰せられ、場合によっては逮捕される。

こんなこともマルトリートメント

  • お風呂から出てきた父親が裸でウロウロする
  • 親子でお風呂に入る
  • 子どもが嫌がっているのに行うことで、視覚野に障害が出る。

家族のDVを目撃する

  • DVを目撃すると子供が直接暴力を受けなくても脳が傷つく

DVの種類

  • 身体的:殴る、ける、かみつく、物を投げる、突き飛ばす、首をしめる
  • 精神的:言葉の暴力、大事なものを壊す、日常的な軽視、脅迫、
  • 性的:性行為強要、性行為に応じない際の攻撃、避妊に非協力、暴力後のセックス
  • 支配行動:社会から孤立させる、交友関係からの遮断、情報や支援のアクセスの制約、日常行動の監視、経済的圧迫

DVの目撃による子供への影響

  • 情緒、行動的発達に深刻な影響
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • うつ病、不安障害、攻撃的行動、自殺企図・念慮、摂食障害、睡眠障害、認知・行動発達の遅れ
  • 脳の視覚野の容積が減る→記憶力や学習能力の低下

言葉の暴力の脳への影響

  • 子どもへの直接の暴言でなくても夫婦げんかの暴言を聞くことが、子どもの脳を傷つける。
  • 身体的な暴力よりも怒声や暴言の方が、より子どもの脳に深刻な影響を与える。

愛着障害はドーパミンが出にくい

ほめたり、ご褒美を感じるときに、ドーパミンを放出する神経回路

褒め育てたら脳の傷がなくなった

  • 大変な虐待をうけて、その後に問題行動を起こした子ども
  • 大変な子育てを経験した親を医療者がほめてあげた
  • 親が子どもをほめられるようになった
  • 子どもの問題行動が減った

1歳ころにうけたマルトリが子供の脳をもっとも傷つける

  • 妊娠期胎児への影響も大きいと考えられる。

エピジェネティクス

  • 遺伝子は変えられないが、遺伝子のオンオフを変えることができる。
  • それがエピジェネティクス

発達障害は実は愛着障害かもしれない

  • 他人に対して無関心、用心深い、イライラしやすい
  • 多動、友達とのトラブルが多い、人見知りがない

親のトレーニングが有効

  • 親の育児ストレスを減らす
  • 育児のためのトレーニングも有効
  • 親に寄り添ってあげる

マルトリ予防WEBサイト

マルトリ予防WEBサイト

 

この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。