助産師学生しほんぬ コラボレーション企画パート2 20代女性のHPV検査の必要性について産婦人科医史先生に学ぼう!

HPV検査で子宮がん検診

  • HPV検査を行うことで、子宮がん検診の間隔を長くすることができます。
  • 浸潤癌を減らす効果があります。

20代ではHPV併用検診は推奨されていない。

  • オーストラリアでは25才以上でHPV検査単独検診が行われている。
  • 日本では30才以上で、細胞診とHPV検査併用検診推奨。(日本産婦人科医会)

HPV ヒトパピローマウイルス

HPVとはヒト・パピローマウイルスのことで、性交渉などによってほとんどの女性が感染します。皮膚や粘膜に「いぼ」を形成するごくありふれたウイルスですが、その中でも癌を引き起こす可能性のあるタイプのウイルスが子宮粘膜に継続感染すると子宮頸がんが発症するといわれています。また、このウイルスは100種類以上のタイプが存在することが分かっています。
子宮頸がんのおよそ98%程度がHPVの感染によるものといわれています。

子宮頸がんについて

子宮頸がんは、日本では1年間に約11,000人が診断されます。子宮頸がんと診断される人は20歳代後半から増加して、40歳代でピークを迎え、その後横ばいになります。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papilloma Virus)の感染が関連しています。HPVは、子宮頸がんなどを引き起こすウイルスですが、HPV感染者のほとんどは一過性の感染で、2から3年以内に感染が自然消失します。ごく一部で感染が持続し、数年から数10年の長い時間をかけて、前がん病変(異形成)を経て、子宮頸がんになります。軽度の前がん病変の80%はがんに進展せず、一部は自然に消えてなくなります。早期の子宮頸がんでは、自覚症状がほとんどありません。

HPV 感染と子宮頸がん

子宮頸がんのほとんどは HPV 感染が関連しています。HPV は100種類以上の型が
あり、30~40種類が性的接触によって感染します。その中で、発がん性のある高リスク型
(16/18/31/33/35/45/52/58など約15種類)と、尖圭コンジローマなど良性のいぼの原因となる低リスク型(6/11型など)があります。最大80%の女性が生涯のうち一度はHPVに感染すると報告されています。HPVは性的接触で子宮頸部(入り口)の粘膜の細胞に感染し、細胞の変化(軽度異形成)を起こしますが、多くの場合は免疫の働きなどによってウイルスは排除されます。何らかの原因でウイルスが排除できずに持続的に感染を起こすと中等度~高度異形成(前がん病変)となり、その一部が子宮頸がんに進行します。HPV感染が起こった女性のうち子宮頸がんを発症するのは0.1%程度と推計されています。

HPV感染とワクチン

  • 発がん性のある高リスク型HPVの中でも、16型、18型は日本の子宮頸がんの70%程度を占
    めていると報告されています。この16型、18型は日本ですでに使うことのできる2価と4価のHPVワクチンで感染を予防することができます。
  • 4価のワクチンでは尖圭コンジローマの原因ウィルスを予防出来る。
  • また、2020年7月に承認された9価ワクチン(シルガード9)では90%の子宮頚癌を予防することができると言われています。

HPVワクチン

  • 10~14才の女性に接種推奨
  • 小学校6年生から高校1年生までは無料もしくは定額で接種が受けられる。
  • 現在は積極的な接種勧奨は中止されている。
  • 15~26才の女性に接種推奨される。
  • 希望する27才~45才の女性に接種する
  • すでに感染したウィルス感染を治療するわけではない。感染していない型を予防できる。
  • ワクチン接種のためにHPV検査は不要。

細胞診

子宮頸部(子宮の入り口)を、先にブラシのついた専用の器具で擦って細胞を採り、異常な細胞を顕微鏡で調べる検査です。前がん病変と子宮頸がんを発見できます。

HPV検査

  • 細胞診と同様に子宮頸部から専用器具で採取しHPV-DNAを検出することで感染しているかどうかを調べる検査です。
  • HPV検査は、子宮頸がんの原因ウイルスであるHPVを直接見つけ出す検査です。
  • HPVに感染しているかどうかが分かります。HPV検査は細胞診(通常の子宮頸がん検診)のときに細胞を採取するのと同様の方法で検査できますので、身体の負担はあまりありません。

HPV検査単独法(推奨グレードA:国立がん研究センターより)

  • 進行した癌を減らす効果がある。
  • 検診の間隔を2から3倍に延長することが可能である。ただし、細胞診単独法に比べて偽陽性が大幅に上昇し、1,000人あたりの偽陽性は42人増加する。
  • 検診対象:30から60歳
  • 検診間隔は5年が望ましい。
  • 検体は医師採取を原則とする。

細胞診・HPV検査併用法(推奨グレードC:国立がん研究センターより)

  • 推奨グレードCは条件付きでの推奨
  • 浸潤がん罹患率減少効果の証拠がある。
  • 検診の間隔を2から3倍に延長することが可能。
  • ただし、細胞診単独法に比べて偽陽性が更に上昇、1,000人あたりの偽陽性は101人増加し、3つの手法のなかで最大となる。
  • 細胞診は液状検体法を原則
  • 検体は医師採取を原則
  • 検診対象は30から60歳
  • 検診間隔は5年が望ましい。

細胞診単独子宮がん検診

  • 検診対象:20から69歳
  • 検診間隔は2年が推奨。
  • 69歳が上限年齢なのは、それまでに子宮頸がん検診を受診し続けた場合は80歳程度までの死亡減少効果が持続するという証拠を認めたため。

まとめ

  • 20代にはHPV検査は推奨されていない。
  • HPV検査単独法の検診対象は30から60歳、検診間隔は5年を推奨、HPV新規感染率が60歳以上で低い。
  • 上記推奨よりHPV単独もしくはHPV併用子宮がん検診は30歳から60歳、細胞診単独は20歳から69歳で推奨されている。
  • 子宮頚癌ワクチンは20代でも予防に有効です。
  • 子宮頚がんは自覚症状がほとんど無いので、いずれかの方法で、しっかりと検診を受けるようにしましょう。

 

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「助産師を目指すしほんぬ」YouTube紹介
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沖縄県出身。県外の看護学部に通う4年生です。
沖縄県久高島の中学校にいたときに、「玄牝」を観て助産師を志しました。
将来、「歌って踊れる助産院」をたてたいと思っています。
YouTubeを通して情報発信をしていますので、是非よろしくお願いします。

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この記事を書いた医師

島袋 史 (ゆいクリニック院長)
  • ゆいクリニック院長
  • 島袋 史
  • Fumi Shimabukuro
  • 【資格】日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、ホメオパシー認定医、新生児蘇生法インストラクター。1970年東京都生まれ、1989年大学入学のため沖縄へ。1995年、琉球大学医学部卒業。琉球大学産婦人科入局。沖縄県内にて研修後、2011年にゆいクリニックを開院。4児の母。小児科医の夫と共に、多くの女性の出産・育児を支援するほか、更年期や月経トラブルなど女性のための治療を行い、ホメオパシーや栄養療法やプラセンタ療法などの自然療法も積極的に取り入れている。特に、小麦や砂糖、乳製品、食品添加物を一切使わない食事をクリニックで提供するなど、食事療法の重要性を説いている。