人工妊娠中絶術

当院では、母体保護法指定医師が、母体保護法を遵守して人工妊娠中絶に対応しています。

カウンセリング

予期しない妊娠をして、妊娠継続について検討が必要な場合には、パートナーを含めてカウンセリングを行います。妊娠継続について迷っている場合には、しっかりと方針を決めるためのサポート、継続しないことを決断している場合には、自分で決めた妊娠継続をしないという方針に対して、できるだけ後悔や罪悪感を残さないようにサポートを行っていきたいと考えています。

今後の避妊について

当院で中絶手術を受けられる方には、手術後の避妊方法について指導いたします。人工妊娠中絶手術を受ける場合は手術および中絶同意書の提出をお願いしています。既婚・未婚に関わらず本人とパートナーの署名捺印が同意書に必要となります。未成年者の場合には保護者の署名捺印された同意書の提出が必要です。レイプ被害による妊娠や相手と連絡がとれない場合には、パートナーの同意は必要ありませんが、手術に関しての家族の同意を得るようにお願いしています。結婚されている方(事実婚を含む)は配偶者(事実婚の方は、配偶者にあたる方)の署名捺印を同意書にお願いしています。ただし、状況により手術の同意や中絶の同意に関しては、特別な事情がある場合には個別に相談に応じます。

詳細はこちら:人工妊娠中絶の際のパートナーの同意について

術後診察

術後の状態チェックのために術後一週間前後での外来受診が必要となります。術後診察の費用は手術料金に含まれておりますので、術後受診の際には診察料は頂きません。術後のケアまで安心して受けていただけます。希望のある方には、術後にもカウンセリングを行っています。


人工妊娠中絶について

手術(子宮内容除去術)による人工妊娠中絶

妊娠初期の人工妊娠中絶手術は静脈麻酔または局所麻酔で行います。静脈麻酔とは点滴から眠くなるお薬や痛み止めを注射して眠っている間に手術を行う方法です。

静脈麻酔での手術では眠っている間に手術が行われるため、痛みを感じることはあまりありません。手術は10分から15分程度で終わりますが、その後、目覚めるまでに2~3時間は時間がかかります。その後出血等問題なければ、帰宅可能です。

局所麻酔での手術の場合には、眠らずに手術を行いますので、術後約1時間ほど出血状況をみて問題なければ帰宅可能です。ただし、完全に無痛になるわけではなく、診察の際の器具で膣を広げる際の痛みや局所麻酔の注射の痛みは我慢する必要があります。

麻酔の影響がありますので、手術当日は運転や集中力が必要な作業は避けるようにしてください。局所麻酔での手術でも静脈麻酔へ変更する場合がありますので、ご自身で運転して来院することはお避けください。通常は半日入院で、朝来院したら午後帰宅または、昼来院して夕方帰宅となります。飲食も手術前の指定の時間を超えた場合には手術に備えて控えるようにしてください。食事を手術前の指定時間より後に食事をした場合には手術が行えなくなることもあります。

術前検査

手術や中絶の処置の前に、事前に外来にて貧血、肝機能、腎機能などのチェックやエイズや肝炎などの感染症の検査などを行います。妊娠中期の人工妊娠中絶は母体に大きな負担を伴うため、なるべくは避けるようにお勧めしています。どうしても妊娠継続が出来ない場合には早目に受診し、ご相談下さい。

お問い合わせについて

受診前にご相談希望の場合には、メールでのご相談には迅速に対応できない時もありますので、診療時間内にお電話でお問い合わせいただきますようお願いします。メールでお問い合わせされた場合、1日以内にお返事が出来ない場合があります。またメールを返信しても、メールがうまく受け取れない場合もありますので、1日たってもお返事がない場合には診療時間内にお電話頂けますようお願いします。

吸引法にて子宮内容除去術

当院では、吸引法にて子宮内容除去術を行っています。

子宮内容除去術の手術(流産手術、中絶手術)に使用する吸引管という器材には、金属製の吸引管による電動吸引法とプラスチック製の柔軟なカテーテルを用いた手動真空吸引法(Manual Vacuum Aspiration:以下MVA)の2種類があります。

現在わが国の吸引法はほとんどが金属製の吸引管による電動吸引法で行われています。

プラスチック製の柔軟なカテーテル

プラスチック製の柔軟なカテーテルを用いた手動真空吸引法のほうが、子宮壁の損傷や子宮穿孔のリスクが少なく、子宮にやさしい処置がおこないやすいということで、日本でも数年前から導入されています。自己負担の追加料金はありますが、ご希望があれば手動吸引法で使用されているソフトな吸引管を用いることが可能です。ご希望の方はお申し出下さい。

経口中絶薬メフィーゴパックによる人工妊娠中絶

メフィーゴパックはミフェプリストンという妊娠のホルモン(プロゲストン)を抑える薬と、ミソプロストールという子宮収縮(陣痛)を起こさせる薬との組み合わせを服用することによって、妊娠初期(妊娠9週0日、63日目)までの人工妊娠中絶が可能となります。海外では30年以上前から使用されていますが、日本では2023年4月に認可されました。最初のミフェプリストンをクリニックで服用し、一旦帰宅可能です。服用後36〜48時間後に2錠目のミソプロストールをクリニックで服用後は、外出禁止で胎嚢が排出されるまでは院内で待機します。通常は、4,5時間で胎嚢が排出されて夕方までに帰宅可能となりますが、まれに出血が多かったり、翌朝まで胎嚢が排出されない場合には、手術による人工妊娠中絶を行います。詳しくはこちらをご覧ください。内服による人工妊娠中絶は現在入院対応(通常日帰り)が必要なため、手術による人工妊娠中絶より費用は高額となります。

妊娠12週以降の中期の人工妊娠中絶について

妊娠12週以降の人工妊娠中絶では、基本的には入院して陣痛を起こす処置で行います。入院期間は、お産の状況によっては2日から5日程度の入院が必要になります。入院が難しい場合にはお早めにご相談下さい。


遠方にお住いの方へ

遠方にお住まいで当院での受診を希望される場合には、受診前にお電話でお問い合わせいただくことをお勧めします。受診日の予定や受診後の手術や入院などの日程について事前に相談することができます。空きがあれば、ゆいクリニックで借りているアパートを数日から数週間借りることも可能です。ご希望があればご相談下さい。

中絶手術の費用・料金

費用については、「料金一覧表」をご覧ください。

当院での中絶手術をご希望の場合には、手術代金以外に、手術のための術前検査とカウンセリング費用がかかります。

内服による人工妊娠中絶は現在入院対応(通常日帰り)が必要なため、手術による人工妊娠中絶より費用は高額となります。

人工妊娠中絶手術費用は、健康保険が適用されません。したがって、保険診療のように費用はいくら、と決まっている訳ではなく、それぞれの産婦人科によって費用が異なります。(自然流産の場合は保険が適用されます。)


手術後の診察

手術後の炎症、出血などの異常がないかを確認させていただくために、術後1週間前後で診察を行なっております。術後の診察料は手術費用に含まれているため、診療費用は発生しません。貧血やその他検査で異常があった場合、追加検査や処方が必要となる場合には新たに料金が発生する場合があります。

カウンセリングについて

カウンセリングでは女性の出産するかしないかを選択する権利(リプロダクティブ・ライツ)を尊重し、女性の選択を尊重します。日本家族計画協会家族と健康に掲載された島袋の望まない妊娠の方へのカウンセリングに関する記事を一部抜粋編集して以下記載しますので、当院で行われているカウンセリング内容について参考にされてください。

予期せぬ妊娠をした方へのカウンセリング

予期せぬ妊娠を主訴に受診した方には、手術前のカウンセラーとの面談を必須として、妊娠継続するのかどうか、また妊娠継続しないことを決めた場合にはその選択を支持するようなお話しをしています。週3回クリニックでカウンセリングの面談日を設定して、中絶を希望される方や当院で出産予定の妊娠中の方とのお話しをカウンセラーの先生にしていただいています。妊娠中絶を希望されている方へのカウンセリングでは、女性が「よりつらい選択をして苦しむ」ことを、少しでも楽にしてあげるのが使命であり、「中絶しても問題ありませんよ」と「言い切ってあげること」を役割として、①後悔しない②自分を責めない③子供は決して母をうらまない④今回のことで、尚更、幸せになる努力をすること、更に、手術後に、今後心が揺れたり、ふさいだりする時は①ぐずぐず悩んでいる時間は何の役にも立たないこと。それよりは、具体的に身体を動かして時間を過ごすよう促す。②不幸な時間を長引かせないこと。※問題はかならず解決されること③今回のできごとで、最も大切なことは、あなたが母になったということ。④永遠にこの子の母であるという事実を誇りにして尊ぶこと⑤産む、産まないに関わらず、女性として母としては同格であり、今回、産まないことを決めた自分を卑下しないこと⑥1番辛い思いをしているのはあなただとねぎらう などをカウンセラーの先生から伝えてもらうようにしています。中絶手術術後のアンケートでは、たくさんの人が、カウンセリングを受けたことで心が楽になった、助けられたと感じていると書かれています。

予期しない妊娠をした場合には出産するかしないかをその時点で悩んで決定しないといけないですが、その選択の一助としてもカウンセリングではサポートを行います。
妊娠を継続するかしないか、その人にとってベストな選択をサポートします。

セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)

セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、「性と生殖に関する健康と権利」と訳され、1994年にカイロで開催された国際人口開発会議において提唱された概念です。今日、女性の人権の重要な一つとして認識されています。英語のSexual and Reproductive Health and Rights、頭文字をとって、「SRHR」と略されます。

性と生殖に関する健康・生命の安全を、女性のライフステージを通して、権利としてとらえる概念です。
性や生殖など、自分の身体に関する全てのことは、当事者である女性が選択し、自己決定できる権利のことです。

どんな風に決めても、もちろん色々な暴力を受けたりせずに、本人が決めることが何より大事にされること。

セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの中心課題には、いつ何人子どもを産むか産まないかを選ぶ自由、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠・出産、子どもが健康に生まれ育つことなどが含まれおり、また、思春期や更年期における健康上の問題等生涯を通じての性と生殖に関する課題が幅広く議論されています。

妊娠するのは女性であり、男性とは異なる健康上の問題に直面します。

私たちが豊かな生涯を送るための基本として「心とからだの健康づくり」は必要不可欠です。リプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念を理解し、「自分のからだは自分で守ること」はとても大切です。予期せぬ妊娠を避けるためにも正しい避妊の知識を身につけましょう。完璧な避妊はありませんが、より完璧に近い避妊を選択しましょう。予期せぬ妊娠に直面した場合には、子どもを産むか産まないかは女性の権利として自分や生まれてくる子どもの健康を考えて、方針を選択することができます。「子どもを持つ」「持たない」を決める自由を持ち、女性が自分自身で、子どもの数、出産間隔、出産する時期を自由に決定でき、そのための健康を享受できること、またそれに関する情報と手段を得ることができる権利が大切にされるべきなのです。

術後の避妊

手術後にはより確実な避妊方法として、コンドームだけの避妊ではなく、ピルまたは子宮内避妊具の使用を勧めています。メインスタッフは「指導者のための避妊と性感染症予防セミナー」などを受講し、避妊の知識を学んで患者さんへの指導をしっかり行っています。

※当院は予約制のためご予約の上ご来院することをお勧めします。

Q&A

Q:最初にカウンセリングの予約が必要ですか?

A:まずは、診察の予約をして受診してください。

Q:パートナーも一緒に診察に来院する必要がありますか?手術の際にパートナーの付き添いが必要ですか?

A:パートナーが一緒に来院する必要はありません。希望があれば一緒にカウンセリングを受けることは可能です。手術の際にはパートナーもしくは家族、友人などに送迎と付き添いを御願いしています。静脈麻酔で手術を行った場合にはその日は車の運転ができません。

Q:クレジットカードはつかえますか?

A:1万円以上の支払いでクレジットカード使用可能です。

Q:診察にどのくらい時間がかかりますか?

A:初回の受診で術前の診察と検査を行う場合には、待ち時間併せて2時間くらいかかります。手術の説明は後日行います。カウンセリングも初回受診後に予約をおとりします。手術の説明にも約30分程度かかります。

Q:手術の際にはどんなお薬をつかいますか?

A:手術時には静脈麻酔のお薬と抗生剤を点滴で投与します。また術後に子宮収縮剤と希望があれば鎮痛薬を処方します。また術後の避妊が必要で適応がある方には避妊ピルも処方しています。避妊ピルは手術翌日から内服開始可能です。